会長挨拶

鹿島神傳直心影流百錬会  

会長就任にあたって

   このたび、本多健二前会長のご下命により、伝統ある直心影流百錬会の会長に就任致しました。
 室町時代より、約五百年間、連綿として継承されてきた鹿島神傳直心影流の直系である百錬会の会長を拝命するという大変な重責に、あらためて身が引き締まる思いです。

 百錬会は、剣聖と呼ばれた第十五代山田次朗吉一徳斎先生の直弟子である第十七代大西英隆百錬斎先生が、昭和三十一年に創設された会であり、この大西先生のご遺志を頑なに守り続ける団体として、西尾佳先生、赤尾勇一先生、本多健二先生によって、令和の今日まで受け継がれてきました。

 この五百年間だけでも、剣道の流派は、数百にも及びました。しかし、明治期の廃刀令、太平洋戦争敗戦後のGHQによる剣道の禁止という大きな二つの荒波に揉まれ、多くの流派は息絶え、あるいは形骸化してしまった流派も少なくありません。

 しかし私ども直心影流百錬会においては、いまだに活き活きと気迫溢れる型の伝承が行われていることには、二つの理由があります。
一つは、「阿吽」の呼吸法、そしてもう一つは、「外修」とともに、「内修」(心の修行)を重んじたことです。内修の眼目は、「后来習態の容形を除き、本来清明の恒体に復する」すなわち「赤子の直き心」に戻ることとされております。

 そしてまた、第十五代山田先生は、「剣仙」(実社会では役に立たず、剣道しかできない人)になることを強く戒めておられました。 

 私達は、この直心影流の呼吸法と型を通じて、心と身体を鍛え、磨き、不動心、浩然の氣を養い、その人間力を持って、社会に役立つ人間を教育する団体でありたいと願っております。それが、やがて日本創生に繋がる事こそ、幕末の英雄、男谷下総守、勝海舟を輩出した直心影流ならではの重い使命であると確信しております

 この直心影流の道を私達とともに学ぼうと志す方は、どうぞ門を叩いてください。
 お待ちしております。

 

 令和五年七月

    鹿島神傳直心影流百錬会
        第6代会長 渡邉嘉之